── 2012年4月から食品に含まれる放射性物質に関する規制が厳しくなり、食品による年間の被ばく線量が1ミリシーベルト以下になるように設定されました。1ミリシーベルト/年とは、どのような量なのでしょうか。 三橋 4月からの規制値で決められた年間1ミリシーベルトとは、飲料水からの内部被ばくを0.1ミリシーベルト、一般食品からの内部被ばくを0.9ミリシーベルトという内訳にした数値です。 私たちは地球上で生活していく上で宇宙線や食べ物、大地からの放射線によって被ばくしています。その値は、日本人の場合で約1.5ミリシーベルト/年、世界平均では、その約2倍の2.4ミリシーベルト/年という被ばく量です。 大地からの被ばく量は、日本では地域によって異なります。関東は関東ローム層に覆われているため被ばく量が少なく、関西方面は花崗岩に覆われていることもあり被ばく量が多くなります。したがって、福島第一原発事故後、関西方面に避難されている方などもいらっしゃいますが、かえって被ばく量が増えるということも起こり得るのです。 世界では、年間に10ミリシーベルトや20ミリシーベルトの自然放射線を受ける地方もあります。そのようなところと比べると、現在の日本は自然放射線に関しては非常に安全であると言えます。 また、私たち人間そのものがいろいろな放射性物質を体内に持っています。例えば、食べ物からは放射性カリウムを摂取しています。 「ベクレル」という単位は放射能の単位で、実際のヒトの被ばく量は「シーベルト」という単位に換算します。シーベルトに換算する際には、どのような放射性物質で、半減期や汚染濃度、摂取量がどのぐらいかいろいろな因子が考慮されます。また、放射性物質は、体の中に入ってすぐに排出されれば、被ばく量も低いので、どのぐらい速やかに体外へ排出されるか、ということを勘案し、ベクレルをシーベルトに変える係数が決まっています。 この係数は、大人と幼児と乳幼児でも違います。また、経口的に摂取されたか、呼吸で入ったのかによっても違うため、それぞれ係数を変えて被ばく量を勘案します。 「一般食品」の基準値の考え方(提供:三橋紀夫氏) 自然放射線から受ける線量(原子力・エネルギー図面集2012より) 放射線が活性酸素をつくり、それがDNAを損傷する ── 放射線
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